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第20話 ここからが勝負

Author: 葉山心愛
last update Last Updated: 2026-01-07 15:57:00

STAR-MIXの服が届けられた翌日から、当店にそれらが並べられた。

この店が続けられるかどうかは、このブティックの売り上げによる。

これが売れなければ、今年一杯でこの店は潰れてしまう。

でも、成功すれば……

売り上げがよければ、この店は来年以降も続けることが出来るのだ。

今日からの売り上げにかかってる。

ここからが本気の勝負の始まりだった。

「いよいよ今日からね」

「そうですね。売れるといいんですけど……」

開店時間10分前。

店内でお客様が来てくれるかどうかドキドキしていると、幸さんがいつの間にか隣にいた。

幸さんはいつもよりもやる気十分で、化粧も普段より濃い目だ。

「あれだけ宣伝してるんだもの。絶対来てくれるわよ」

幸さんににっこり微笑まれると、本当に自信がついてくるから不思議。

そう……

彼女の言うとおり、あれから随分と宣伝をしていた。

STAR-MIXを売り出すために、前々から宣伝準備を進めていたのだ。

今日と明日の土日二日間は、全ての商品が20%オフとなっている。

デパート自体もSTAR-MIXの取り入れたことで、広告トップに持ってきてくれた。

「わぁー、緊張するわね」

「は?お前も緊張すんの?」

突然現れて、幸さんをバカにしたようなこの口調。

仲森さんだ。

「何それ、私だって緊張するんだから!」

「へぇー。それはそれは。胆座ってっから緊張なんかしないと思った」

「失礼ねぇ」

やっぱりこの二人は仲良いんだなと、少し寂しくなる。

わたしの知らない仲森さんを、幸さんはたくさん知っているんだなとか。

色々考えてしまう。

「ねぇ?麻菜ちゃんからも言ってやってよ。秀平に」

「え?」

突然話を振られて、一瞬ドキッとした。

ちらっと仲森さんを見ると、彼もこちらを見ていた。

鋭く冷たい瞳の奥に、何処か温かみを感じる。

でもずっとは目を合わせていられなくて、すぐに反らしてしまった。

「おっ、開店時間になったぞ」

ついにデパート開店時間になり、お客さんがちらほら見られるようになった。

そして。

「いらっしゃいませ」

本日初のお客様の来店は、二十代前半の女性二人組だった。

このお客様を先頭に、いつも以上にお客様が入ってきた。

「何だか今日は大盛況ね」

「そうですね。やっぱり宣伝効果でしょうか」

「それとこの服が入荷してきたっていうのが
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